遅咲き桜

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zoom RSS 緋寒桜の咲くころに

<<   作成日時 : 2011/02/16 15:10   >>

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 折り返しブラッスリー・インに電話を入れたが、二人とも出掛けたらしく留守電にメッセージを残してダンは携帯を閉じた。あれだけ世話になり迷惑を掛けたので、せめて今回のニュースが耳に入る前に舞台を楽しんで欲しかった。

 ほどなくしてランスがアパートを訪れ、ダンの顔を見るなりやはりタカシ同様、何も言わずに彼をハグしていた。
 「お帰り・・」
 「心配かけたな・・」
 「でも・・楽しんだ?」
 「そこそこな・・」 照れながら本音を漏らした。
 「シスコはインテリ系のイケメンが多いって聞いてるけど・・」
 「そうなのか?それは判らねぇ〜けど、カフェでナンパされたかな」
 「えっ、あんたエディのおひざ元で浮気してきたの・・」
 「勘違いするなよ、パーティーに誘われただけで断ったし・・でもあっちの奴らってすげぇ、気さくで感じよかったぞ」
 「私も行ってこようかしら・・」 ランスは両手を胸の前で合わせると腰をくねらせた。
 「えへん・・」 タカシが咳払いをした。
 「そうね・・不謹慎よね。それでどうだったのよ、エディの怪我とかは・・」
 ダンはシスコでの出来事を二人に話して聞かせた。
 素晴らしい舞台やスターになったエディの活躍ぶり、そして事件に宿泊したペンションのオーナー夫妻や同泊していたベルギーからの新婚夫婦の事など等・・劇的な滞在記を雄弁に語った。
 そんな話の途中でタカシはトイレに行くふりをしてブライアンにメールを入れた。
 “ダンが帰って来て皆と今夜はアパートで遅くなりそうなので、迷惑かけると思いますからペントハウスに泊まってもらえますか?” 打ち終わって二人の待つリビングに腰掛けると同時に携帯がバイブした。
 「ごめんなさい」 一言謝り携帯を開いた。
 “了解” ブライアンから簡潔な答えが返ってきた。
 「誰から?エディから?」
 「ブライアンからで、仕事で遅くなるので今夜はあっちに泊まるって」 タカシは何とか嘘を付いた。
 「ニュースじゃ、怪我はしてないって言ってたわよね」
 何度も見飽きるほど、爆発と事故現場の映像がニュースの度に放映されていた。
 携帯というものは便利ではあるが、所構わずどんな状況の時でも掛かってくるのが、ある意味不快感を抱かせる。かといって無視するわけにもいかず、ダンの話に共感していると再び彼の携帯が鳴りだした。
 「ローズだけど、留守電ありがとう。素敵な舞台だったけど、帰ってきたらエディの事ニュースで流れててビックリしちゃったわ」
 「楽しんでもらえたんですね?良かった。あの事故も空港からの帰りかもしれないので、余計に心配してるんですけど、携帯もメールも繋がらなくて・・そちらでは、何か新しい情報とかありませんか?」
 「こっちでも事故車と爆発のシーンと救急車から降りてくるエディの姿が何度も流されているけど・・・」
 「救急車から・・」
 「ええ・・、でも重症を負ってるって感じじゃあ無いわよ。自力で降りてきてたし・・」
 「どうしたの・・救急車って・・」 ランスが横から口を挟んだ。
 何も言わずにダンはランスの口を手で塞いだ。
 「あと・・舞台の最後にフォンテーヌが挨拶するって聞いてたんだけど、彼の姿は見えなかったわね。やっぱりエディの事が関係しているのかしら・・?」
 「・・そうかもしれませんね。あっ、俺も無事にこっちに着きましたのでピートにも宜しく伝えて下さい。わざわざありがとうございました」 
 「判ったわ・・いいダン。私達はいつでもここにいてあなたたちを待ってるから、また訪ねてきてね」
 「ありがとうございます、是非・・。ではまた何か判りましたら連絡もらえますか?」
 「そうするわ、身体に気を付けてね。無理しちゃだめよ」
 母親のようなローズの温かい言葉がうれしかった。ただ、軽傷にしても救急車から降りてきたという、怪我をしたばかりのエディの様子が気掛かりで、ダンは両手で頭を抱え込んだ。

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