遅咲き桜

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zoom RSS 緋寒桜の咲くころに

<<   作成日時 : 2011/03/01 13:24   >>

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 蒸し暑く寝苦しい夜ではあるが、タカシが眠れないのいは、確固たる理由がある。
 そう、イタ電の主、犯人を確かめなければならないのだ。濃いめのコーヒーのカフェインで眠気を吹き飛ばそうとがぶ飲みすると、電話の前に腰を据えた。
 時計を睨みながら、欠伸をかみ殺しその時をひたすら待った・・。一時半が過ぎ、二時を回り諦めかけた時、限界の眠気を払拭するかのようにベルが鳴りだした。
 タカシは大きく深呼吸すると、ゆっくり受話器を手にした。
 何も言わず無言のまま受話器を耳に当て、受話器から聞こえて来る微かな音さえも聞き逃すまいと全神経を集中させた。
 二分、三分と静かな時が過ぎていた。
 とっ、その時信じられない事に気づいたのだ。研ぎ澄まされた聴覚が微かではあるが音楽を聴き取っていた。
 確かどこかで聞き覚えのあるリズムとメロディーであ。目を瞑りその音楽を記憶の中で回想し始めた時、全身に鳥肌が立つのを感じた。
 「エディ・・エディだろ・・?」 受話器を両手で握り絞めたタカシは真夜中にもかかわらず大声で叫んでいた。 
 「・・・」 それでも相手は無言のまま何も語ろうとはしなかった。
 「何とか言ってくれ・・。アパートはそのままだし、俺の携帯もアドレスも当時のままだから・・エディ・・」 懇願するようにタカシは姿見えぬ相手に訴えかけた。
 しかし、そんなタカシの気持ちも叶わぬまま、相手は受話器を置くとプツリと音も途切れてしまった。
 そうあの音楽はエディがストレッチをする時に使っていた曲に間違いがない。少しテンポが遅いがインパクトの強い変わった曲だった。
 電話を前にタカシも放心状態に陥ってしまっていた。あの事故からもう三か月以上が経とうとしている。
 どこから掛けてきているのだろうか?きっともうニューヨークも戻って来ているに違いない。だとすれば、事情はどうであれ、タカシの許にその元気な姿を見せて欲しかったし訪ねて欲しいと心底思えた。
 しかし、今まで曇っていた心の霧が一瞬にして腫れ上がるのを感じ、ゆっくり立ち上がると、静まり返った元エディの部屋のドアを開け、ベッドに腰掛け微笑む彼の幻を見ていた。
 つづく・・・

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