遅咲き桜

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zoom RSS 緋寒桜の策ころに

<<   作成日時 : 2011/03/01 17:40   >>

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 翌日寝不足にも係わらずタカシの身体はことのほか軽かった。
 珍しく笑顔を絶やさないタカシにブライアンも声を掛けた。
 「どうした?今日は随分気分良さそうだな」 昨日まで死にかけた病人のように目の下にクマをつくっていたタカシを揶揄した。
 「ちょっとね・・」 ニンマリと笑い、機材を担ぐと移動用のバンに積み込み始めた。
 「宝くじにでも当たったのか?」
 「・・それが、イタ電の犯人が判ったんだ・・」
 「捕まったのか?」
 「そうじゃないんだけど・・」 言いながらまた顔が微笑んだ。
 「降参・・・誰だよ」 ブライアンが両手を挙げた。
 「エディ・・」
 「えっ、」
 「はっきりとは判らないけど・・微かに聞こえた音楽が、いつもエディが流していた曲に間違えないと思うんだ」
 「・・・そうだったのか・・でもどうしてイタ電なんか?」 一瞬ブライアンの表情に雲がかかった。
 それは、ある意味恐れていたことが現実になってしまうからだ。

 昼を終えてスタジオに戻ったタカシは、ブライアンの機嫌が悪いが何かあったのかとアルに呼び止められた。
 彼を怒らせるようなことをした覚えのないタカシは逆に面喰ってしまった。
 昼食の後は彼と、言葉さえ交わしていなかった。
 するとアルとコソコソ話していた二人にブライアンが、大声ではっぱをかけた。
 日頃可愛がっていてるタカシにまで檄を飛ばした様子に周りにいたスタッフも驚きを隠せなかった。
 「レフ版を頼む・・」
 大声で怒鳴るともっと上だのもう少し左だのと、タカシに事細かく注文をだしていた。
 タカシはブライアンでも怒ることもあるのだと、そちらの方が驚きで、人間らしい姿を垣間見たきがした。
 タカシは、そんなブライアンの横顔を見詰めながらも、決してブライアンはタカシの顔を直視していないのが判った。
 原因はなんだろうか?・・聞くわけにもいかず、何とかその場をやり過ごした。
 「たまにあるオンスだから気にしないほうが良いわよ」 アルは冗談交じりにタカシを気遣ってくれた。
 怒鳴られることに対しては、今までも上司に大目玉を喰らったことは度々あったので、さほど気にも留めずにいたが、当のブライアンは撮影を終えると、姿を消しそのまま暫く戻ってこなかった。
 スタッフの数名がよほどの事があったのだろうと、口々に噂しているのを聞いて、もしかするとエディの事が原因かもしれないとタカシも憶測していた。
 ランチの後、機嫌が悪くなったとすればそれしか考えられなかった。
 
 ホームレスセンターに行っても昼間のブライアンの態度が気掛かりだった。しかし現実は、飢えをしのぐためにここに集まったこの人達であり、そんなタカシの些細な心配事にかまけている暇など無いと痛切に感じさせた。
 つづく・・・

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